そうざいの秋団ふりかえり(前編)
皆さん秋団お疲れ様でした。
結果は皆さんご存知の通り、名古屋大学は学生王座戦への代表権を得ることができました。
応援してくださった方ありがとうございました。4回目の学生王座戦、前回の6位を上回る成績目指します。
今回の秋団は、私にとって最後の中部学生将棋の大会でした。文章として残しておきたいことがたくさんあるので、前編として私の5局の将棋のふりかえりをし、それとは別に後編(中編を挟むかもしれません)も書く予定です。長くなりますがお付き合いください。
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1回戦 HYS氏(南山)
後手番。対嬉野流。
漫然とした手を指してしまい15手目で既に指しにくい形になってしまいました。仕方なく持ち時間を10分投入。
34歩の予定でしたが45銀で困りました。34の歩を守るためには33金ですが、24歩同歩同角同金同飛で自信なし(ソフト的には互角ですが)。かといって35銀と出られるようでは棒銀が受かりません。
実戦は14歩。35銀には13角で受けて角銀交換ですが、手数をかけた銀と目標になっている角の交換と考えれば案外悪くない、と考える苦肉の策です。
本譜は仕掛けを見送られたので右玉に組み有利になりました。
ここで33桂と跳ね優勢を意識しました。最善ではありませんが、遊んでいる桂馬を活用しつつ飛車回りを見せる味のいい一着でとても感触が良かったです。飛車角の駒効率の差も大きく、かなり勝ちやすい局面だと思います。自玉に手がつかず快勝。
2回戦 S木氏(中部)
3週間前の個人戦で当たり、その時は相振り飛車で勝ちました。しかし、彼は対抗型党らしく、また、指し手の鋭さも違う気がするので、人違いなのかもしれない、、、
戦型は対石田左美濃。後手番。
77桂型に対し92飛〜72飛の千日手策。85桂と跳ねられたので飛車を浮いて仕掛けを封じ銀冠穴熊へ。八代先生の棋書に載ってる変化ですね。
図は終盤の入り口。
駒割は桂損ですが囲いの差で優勢だと思っていました(実際少し指しやすい)。穴熊を信じ53歩成同歩52歩としましたが悪手で、当然34桂が厳しいです。急に受けがきかない形になり、全然粘れず負け。
33歩、或いは34歩と一度受けるのが正着で、これで振り飛車からの速い攻めがありません。34桂を軽視しているのが酷い。穴熊を何も分かっていませんでした。
本局に関しては持ち時間の差が大きかったです。上の図の局面では相手20分くらい対こちら7分くらい。時間差がつくのを嫌って1分程度でさしてしまいましたが、腰を落として考えるべきでした。そこも含めて大きな反省点です。
3回戦 O澤氏(静岡)
静岡3本柱の一人。24五段の実力者で格上の相手です。
後手番(3回目)。角換わり。
いかにも45桂速攻をしてきたそうな駒組、指し方だったので52金型にしたら、悲しそうな顔をされました。
4筋の位を取られたので私は右玉に、相手は菊水矢倉にそれぞれ組み替えました。
図は中盤戦で34の横歩を取られたところ。この手は無理気味で、カウンターの良い手がありました。7手。
正解は33金35飛69角57金78角成同玉34金打。
飛車が詰んでいます。守りの金を剥がしたので、相手陣は飛車に弱い形になっており優勢です。ここから暴れられましたが、冷静に受けてから反撃して勝ち。
4回戦 K島氏(三重)
大会ブログ最速更新RTA記録保持者のイワシくん。袖飛車使いで、深い序盤研究の印象がある怖い相手です。
オーダーの都合上、80%くらいで当たると思っていたので、前日夜にソフトで袖飛車対策をしっかりして挑みました。
後手番(4回目)。戦型は予想通り対袖飛車。
序盤は準備してきた通りに進み有利になりましたが、図で71角と打たれる手をうっかり互角に戻してしまったかもしれないと思いました。72飛車と逃げる手に44角が好手で、以下71飛53角成同玉(同金は48銀が残る)65飛と進行してどうか、などと考えていました。
、、、さすがに86桂と跳ねて攻め勝っていそうでしょうか。しかし飛車をぶつけられると大変そうではあります。本譜は44角ではなく単に53角成でした。
さて、優勢で終盤に入り下の図。みなさんならどう指しますか?
教科書的には、46銀や19馬でしょうか。おそらくそれが最善で、強い勝ち方だと思います。
ただ私は負けない将棋を選びました。図から31玉73成銀34歩が自慢の手順。飛車や桂を渡せるよう自玉に一旦手を入れ寄せに専念できる形にしました。このあたりは2局目の反省をいかしたものです。最後は寄せ切って勝ち。
研究で序盤ですぐに良くなりましたが、相手の方は悪くなってからもすぐに崩れず、しっかり粘りの手を指されたので難しい将棋になりました。他大学の方ですが、こういう手を指せる人は強くなって欲しいですね。
5回戦 K林氏(名城)
因縁の対決。ここまで2度の団体戦で当たっており1勝1敗。ちなみに私は団体戦の最終戦で彼以外に当たったことがありません(名大側から言うのも変な話ですが。彼の相振り左玉が一級品なので、毎回居飛車中心の私がぶつけられていると言う話なんですけれど、、、)。
純粋振り飛車ですが、かなりの作戦家で、前回は雁木で序盤で悪くして負けました。話をする限り、どうやらお互いがお互いのことを格上だと思っている節がありそう。
序中盤が上手く、また相手に合わせて時間を使ってくるタイプなので、少しくらい悪くても大差でなければ勝負になると思い、序中盤から湯水のように時間をたっぷりと使っていくことを意識しました。
戦型は対先中。後手番(5回目)。
偶数奇数が分からずに、対局開始時に後手番なのに相手が時計を押してくれると勘違いしました。ごめんなさい。
大会1週間前に、MYK先輩から中飛車対策をたくさん教えていただいたので、その中から63銀型を採用。
上図から74飛78飛同飛成同金13角79歩86歩と進行。
同飛成では75歩の方が良く、75歩65歩73桂58金左が一例。。65歩をとった瞬間に75飛とぶつけられますし、神経を使う展開です。"早く終盤になればいい"と思っていたので、結果的には本譜の順で良かったと思います。
少し進んで下図。
ここで相手は秒読みに入りました。(私は残り1分くらい)。秒に追われて指した15歩が疑問手(秒読み23秒くらいに74歩を打たれかけて心臓が止まるかと思いました)。
対局中は同歩同香で16飛が返し技で優勢だと思っていました。本譜は13香不成同香17歩56飛ではっきり良くなりました。
しかし、変化手順として途中の17歩にかえて36歩が返し技の返し技。
19飛成には37玉と上部に逃げ出して、居飛車やや良しですがまだまだ大変でした。
最終盤、本譜は華麗に着地を決められました。
下の図では決め手があります。強い人なら一目でしょう。5手。
17香成同桂16桂38玉78龍が決め手。金をとった手が詰めろ龍取りのピッタリした手で勝ちになりました。
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今回の私の個人成績は4-1でした。今回の名大は14人みな実力のあるメンバーでしたが、こんな4年生のわがままを聞いてもらって全部出ることができて本当に有難い限りです。
後編(中編?)に続きます。